LEDライトをつくろう MINI MAGLITE AA編
警告!!
:このコーナーでは、市販電気製品の分解、改造を行っております。
それらの行為を行う事は個々人の自由としますが、くれぐれも個人の責任において行ってください。
感電、発火等、物損・人身事故等も起こりえます。
当方も素人です。
このコーナーで書かれているとおりに実践したからと言って、その作動を保証するものではありませんし、実践した事におけるあらゆる不利益に関して、当方は一切関知しません。
はじめに。
管理人、暗いのが絶望的にダメである。
というわけで、明かりをともせるものが必要となってくる。
パッと思いつくのがろうそく。
しかし、これには火をおこす道具とろうそくが必要で、その両方が消耗品である。
これでは日常の使用するということにしてみればランニングコストがバカにならない。
そこで「ろうそくがないなら、ライトを使えばいいじゃない」というかのマリーアントワネットも真っ青になるであろう発言の元に、SIGの懐中電灯が集めが始まるわけだ。
懐中電灯である。
発光体にフィラメントをもちいるか、LEDを用いるかの2通りが考えられる。
しかし、いつごろからだろう、ライトとあらばなんでもかんでもLEDになったのは。
フィラメントの光の方が落ち着くのは俺だけだろうか。
それに、フィラメントのほうが明るいし…(これは偏見である。)
まあ、世の中、大概の事には理由というものがあるわけで。
ご多分にもれずLEDにもフィラメントをはるかに凌ぐ利点があるのだ。
詳しい話は個々人で調べていただくとして(笑)、ここではカンタンに触れるだけにとどめよう。
つまりは「小型、小電力、超寿命」という事だ。
懐中電灯として使用する際にはこのほかに「高耐久性」という話も付く。
そう、LEDこそ懐中電灯にうってつけの光源だったのだ。
が、それはあくまで「工場で、イチから設計して生産する場合」に限られた話。
個人で手持ちのフィラメントをLEDに置き換えるのは案外至難の業だったりする。
一番の問題は電圧。
通常LEDを発光させるためには約3.5V必要とされる。
が、恐らく世界標準、少なくとも日本国内でなら何処でも手に入るであろう、尤もポピュラーな電池は1.5V。
つまり、2本の直列(=3V)ではやや力不足、3本でやっと光る、という事になる。
しかし、乾電池3本とは結構な体積である。
一列に並べたら電池だけで約15センチ、その上キャップやベゼルをつけると20センチを超えることもありうる。
ポケットに入れるにはちょっと長すぎる。
ボタン電池等を使用する方法も考えられるし、多くの小型LEDライトはそうなっているが、電池補給の面から考えても、経済的とはいい難い。
しかし。
困難だとわかると、俄然やる気が出るのが趣味の分野。
何とかしてやろうじゃないか、というツワモノもおり、素晴らしい作品を作っていらっしゃる方々も多くおられる。
そんな方々に触発されたかどうかはさておき、SIGも懐中電灯好きを掲げる電子工作が趣味の人間。
何とかしてやろうじゃないか。
というわけで。
前振りが長くなりました。
LEDライトをつくろう!!(漸く本編)
再度警告
:電子機器の分解、改造が含まれます。
感電等の危険性もありますので、行われる方は自己責任にて行ってください。
当方は一切の責任を負わないものとします。
○どんなのつくろう
さて、LEDライトをつくろう、と言っても、イチから設計して生産する能力なんて当然持ち合わせていません。
一番カンタンなのが「市販ライトの改造」でしょう。
ふ〜む…なにか良い素体は…
…君に決めた!
というわけで、今回の改造素体は「MINI MAGLITE AA」に決定・
理由はカンタン、電球の形状がLEDに似ていたから。
(この素体の選定が後々問題を引き起こすことに…)
という事で、今回は彼をLED化してしまいます。
○どーしよっかなぁ?
さて、素体が決まったところで、次にコンセプトを考えます。
考えもなしにつくり始めると、大概頓挫するからです。
でもまあ、当方も初心者、本格的な(それでも初歩の初歩だけど)改造なんて初めてです。
という事で、取り敢えず仮に決めておきます。
@外観は変えない。
中身も出来るだけ弄りたくありませんが、諸所の事情によりLED専用機にしてしまいます。
でも、一応このシンプルな外観だけは変えたくないので、どうにかして維持したいと思います。
A予算は控えめ。
MAGLITEのLEDコンバージョンキットなんて、世の中ゴマンとあります。
ですが、そのどれもが2000円〜という、本体の値段(2000円で購入)を考えると、ちょっち割に合わないものとなっています。
せっかく自作するんですから、低予算でつくったほうがお財布にも優しいですね。
B足元〜数m先が照らせる。
使用目的として、中距離〜遠距離を照らすにはSUREFIREを既に所持していますから、これは手元や足元、自分が歩く道がある程度把握できればよしとします。
というより、SUREFIREでは強すぎてそのあたりが真っ白に飛んでしまうため、見えません。それを補う目的です
取り敢えずこれだけ決めておきましょう。
無理が生じれば、ちょっと妥協するところもあるでしょうが。
○なにがいるかなぁ?
さて、素体とコンセプトが決まったところでお買い物です。
実はSIG、お買い物が先でした。
いや、買い物先で思いついた、というのが適当でしょう。
とにかく、必要なものの買出しです。
@LED球
これをつけるために改造するのですから、当然です。
色はお好みで。個人的に青色LEDを使ってみたかったので、それにしています。
最近では超高光度LEDなんかも400円を切る値段で販売されており、ちょっとそれも試してみましたが、通常のLEDでも必要にして十分な明るさを得られましたから、どちらでもお好きなほうを。
A昇圧回路(別名DC-DCコンバータ)
はじめに、の中でも触れた、今回の改造に当たって最大の難問、電圧。
このMAGには単三電池が2本入るスペースしかありません。
これでは調子がよくて3V、さらにそこから下がっていきますから、ちょっち使えません。
そこで、昇圧回路です。
特殊な(とは言ってもカンタンな)電子回路を通す事により、強制的に電圧を上げてしまいましょう…等と簡単にいけば誰も苦労しません。
そう、大きいんです、この回路。
特に自作すると、どう頑張っても500円玉ぐらいのサイズになってしまいます。これでは入りません。
さて…困った。
さて、突然行き詰りました。
まだお買い物も済んでないのに(笑
しかし、意外なところに救世主がいました。
そもそも、昇圧回路なんて難しい言葉で、パーツ屋さんを見に行く時点でアウトです。
もっと単純に考えましょう。
要は、電池から得られる電圧を、どうにかして高くするための機械が欲しいのです。
○あ、これつかえるかも…
さて、出先で考えたので、当然のどが渇きます。
近くのコンビニがあったので、入ってお茶を買って、どうせだからお菓子でもつまみながら公園で考えるか、などと思って棚を見たとき、それがあったのです。
今回の問題をあっさり解決したもの。
これです。
携帯の充電器を見てください。
「出力:DC4.5V」とかステキなことがかかれています。
そうです、携帯の充電には直流電圧で4V程度必要なのです。
そして、これは単三電池2本を使用します…
なんということでしょう。
いともあっさり解決してしまいました。
これのお値段は609円(セブンイレブンで購入)。
電池はオキシライドが2本で339円ですから、その分を差し引いて実質は270円です。
ばらしてみてから分かりましたが、基盤の大きさは10円よりちょっと小さいぐらい、幅は単3電池とほぼ同じ。
同じ機能を有するものを自作しようとすると、ICだけで1000円以上かかりますから、つくる手間も省けて圧倒的に安いという、ちょっち納得のいかないものになります。
ともあれ、入手できたので良しとしましょう。
○ほかに何がいるかなぁ?
さて、昇圧回路がめでたく見つかり、何となく出来る気がしてきました。
ほかに何がいるでしょう。
Bダミー電池
上記の基盤を乗せるために必要です。
いかに小さいとはいえ、10円玉ほどの大きさはあるわけですから、ちょっと隙間に、っていうわけには行きません。
そこで、電池を1本減らし、その分のスペースに回路を入れてしまいましょう。
問題は昇圧回路が電池1本で動くのか。
賭けですが、どうせ270円なので、失敗したってオキシライドが手に入るんですから(笑
と、いうわけで、こんな感じになりました。
左半分が材料、右が工具類です。
このほかにもラジオペンチ、ピンセット、カッターナイフやピンバイス、千枚通しなんかを使用しました。
○さあ、つくってみよう
漸く製作です。
取り敢えず、昇圧回路を拝んでみましょう。
こんな感じになっています。
ふたを止めているのは4つのツメだけ。
電池は溶接されておらず、取り外しできます。
という事は…
300円ほど高い電池交換式を買うより、こっちを分解して電池を入れ替えて使ったほうが安いんじゃ…
ま、保証は付かなくなりますが。
ともあれ。
電池の上に入っているのが使いたいDC-DCコンバータ。
見ての通り、かなり小さいです。
これが270円で手に入る世の中って、結構間違っていると思いますが。
ま、せっかくなので使いましょう。
回路図なんかも考えましたが、そんなものはこの際どうでもよろしい。
取り敢えず何か回路があって、電池を繋げば目標の電圧を得られるのだ、と解釈しておきましょう。
さて、その回路、何処を何処と繋げばいいんでしょう?
ちょっち拡大してみます。
ごめんなさい、カメラの性能で、これ以上拡大すると目も当てられない異なります。
ともあれ。
回路図をかいたって、知ろうと同然の自分にはイミフです。
取り敢えず、いろいろ繋いで見ましょう(爆
まあ、入力側(電池側)が何処につながるかは一目瞭然、下に見えている二つの端子でしょう。
ご丁寧にプラスマイナスがケースに書かれています。
さて、問題は出力側、つまり上に見えている3つの端子のうち、一体どれがLEDに繋がるのか。
別にクイズ番組ではありませんし、恐らく問題にすると素晴らしいブーイングが来るので、ちゃっちゃと答えを出します。
答え:全部繋ぎます(ゑ
いやいや、ジョークじゃなくて。
赤と緑の端子を短絡させて、一つの端子に変えます。
それと青の端子とをLEDの足につなげるのです。
今回はドコモのmova用を使ったので短絡させる端子がとなりで扱いやすかったのですが、auやFOMAになると若干配置が変わるようなので、できる限りmovaが楽でしょう。
さて、これで繋ぐ線ははっきりしました。
後は細心の注意を払って、出っ張る部分を削りながらダミー電池に押し込みます。
でもまあ、問題もあるわけでして。
取り敢えず、最初にぶち当たるのが、配線をどうするか。
このライトのスイッチはベゼルをまわす事によってONとOFFを切り替える仕組みです。
電池から直接電源を取るときにはそのまま利用すればいいのですが、今回は電池とLEDの電源とが別々の場所となっています。
もちろん、素体の中にコードを通す余裕はありません。
そこで、ライトのスイッチ部分を分解、切断して、一旦使えなくしてしまいましょう(爆
その後で、本来電池のマイナス極に繋がる部分を上写真の入力側マイナス極に、電球に繋がる部分を青(或いは赤と緑の短絡線)にそれぞれ繋ぎます。
文字にすればこれだけですが、この工作において一番の難所はここでしょう。
コードを通すために穴を開ける、コードの逃げ場を作るために削る、などなど、結構な作業がいります。
SIGは現物あわせでカリカリやりました。
しかし細かい。
何せ、サイズは1ミリもありません。
そんなところにコードをショートしないように半田付けするのです。
半田と半田の間にはシャーペンの芯ですら入りませんから、かなり気をつけてやることになるでしょう。
手先に自身のある人向け。
尚、SIGはコーヒーの飲みすぎで手が常時震えているので、めっちゃ苦労しました。
でも、気合と根性さえあれば何とか可能ですよ。
要は半田付けですし。
さあ、そのスイッチ部分と回路を乗せたダミー部分との写真が下。
左側がスイッチ(+電球台座)、その後ろに回路を乗せたダミー電池。
張り付いている茶色のものは絶縁用のガムテープ(笑
あとできちんと絶縁しましょう。
取り敢えず、これで山場は越えました。
後はLEDの足を適当な長さに切ったものを用意して、本体を組み立てるだけです。
○できたぁ〜
漸く完成です。
ちょっと写真が暗いですが、それだけ光量が多く、カメラの絞りが作動したということです。
当初のコンセプトどおり、外観を崩さず、安く、そして十分な光量を持ったLEDライトが出来ました。
このライト、すごいのは単3電池1本で駆動すること。
当初2本じゃなきゃダメかな?とか思っていたんですが、なんのその。
1本でもちゃんと4Vまで昇圧してくれます。
もちろん、作動時間は半分になりますが、どうやらそんなに時間を気にするほど電池を食うわけでもなさそうです
ところで、このDC-DCコンバータ、ほかにも応用できないでしょうか?
例えばヘッドランプとかのLED化、或いはほかの4V前後の電圧を必要とする危機を作動させるのに。
ちょっち電流量が厳しいかもしれませんが、使い勝手はよさそうです。
もうすこし、実験してみようかな。
○で、いくらかかったのかな?
さて、安く、何て書いていますが、一体いくらかかったんでしょう。
LED:300円(ごめん、これより高いことはないけど、レシートなくした…)
ダミー電池:304円
DC-DCコンバータ(電池込み)609円
合計1,213円(半田等、消耗品や工具類含まず)
このうち399円は電池代なので、実質814円。
1000円だしたら、おつりでジュースが1本飲めます。
素晴らしいコストじゃないですか。
○まとめ
どうやら、当初の目的を完遂したようです。
今後の課題はもう少し明るく出来ないか、という事ですが、それはLEDの質に期待でしょう。
今回は青色をチョイスしているのでやや暗めですが、白やキイロを使うともっと明るかったのかもしれませんね。
それと、今回使用したDC-DCコンバータ。
今回はコードで半田付けしてしまいましたが、大きさといい、配線の位置といい、かなり応用範囲は広そうです。
これを使った極小ライトなんかもつくれるかもしれませんね。
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