SIG P226 東京マルイ
○テクニカルデータ
全長…196mm
銃身長…97mm
重量…797g
装弾数…25発+1(チャンバー内)
○実銃について
スイスの銃器会社SIGの拳銃である。
但し、上記にはやや語弊がある。
というのも、SIG社は既に銃器部門からは撤退しており、今このP220シリーズ、及びP230シリーズはドイツのSIGの子会社であるザウエル&ゾーン社から発売されている。
もともと永世中立というお国柄から海外への輸出が制限されていた事、また国防費が削られた事により、SIGは銃器開発から撤退、いくつかの子会社(ブレーザー社など)に部門を売却しており、SIGそのものは食品の無菌包装を主な仕事とする会社となっている。
が、SIGの名前は各子会社に使用が契約されており、今でもSIGの後に子会社の名前(SIG SAUERやSIG
BRAZERなど)の会社名で発売されている。(例外はアサルトライフルとP210シリーズはスイスのSWISSARMSからの販売となっている。)
さて、そんなSIGP226のお話を。
元来、スイスという国は永世中立を打ち立てた当初より武力に関しては特別に配慮する必要があった。それは国の国家としての中立を保つためには欧州諸外国からの武力侵攻から国家の主権を守る必要があったからだ。その気合たるや、平和ボケした日本人には想像すらできないほどで、兵役義務はもちろんのこと、国民皆兵制により兵役を終えた後の成年男子の家には装備一式(戦闘服や小銃、弾薬等)が保管されており、有事の際には国民全てが兵士として動員可能、という具合である。
何せ、第二次世界大戦時には上空を通過する航空機であれば連合軍のものであれ撃墜したというから筋金入りだ。
さて、そんな国ゆえに、武器に関しても常に最新のものを使用しなくてはならない。そしてイザというときに即座に使用可能なほどの整備製、さらにその国土の性質(大半が山岳地帯で視界が開けている)ゆえにその武器に関しては特別の精度が求められた。
そのためSIGSG550にはNATO規格の5.56mmとは違う5.6mm弾を使用する(互換性はあるが、5.6mmの方が弾頭が重く、精度を上げやすい)。
そして、スイス軍の正式採用拳銃として選ばれたのがSIGP210だ。
この銃はご多分にもれず非常に精度と剛性が高かったものの、如何せん、工程が複雑になりすぎたため非常に高価な銃となってしまった。
そこで、今度は品質を落とさず価格を下げるためにプレス加工を使用してつくられた。それがP220である。
一般にプレス加工とは精度を犠牲にしてでも生産性を上げるための手段として捉えられがちであり、それはそれで間違ってはいないのだが、スイスの工業力からか、精度に関しては当時のほかの国の拳銃と比べても非常に高かった。
その精度が認められ、SIGシリーズは「高価だが、精度が高く、堅牢である」という評価を得た。
P220は「9mm拳銃」として自衛隊にも採用されており、士官や市街地戦闘員に支給されている。
だが、そのP220にも欠点が無かったわけではない。シングルカアラムゆえの装弾数の低さ(9発)だ。
それを解決するためにつくられたのがこのP226である。220の精度、堅牢性をそのままにダブルカアラムを使用することにより装弾数を15発まで飛躍的に向上させた。
P226はアメリカ軍のサイドアームズトライアルにも参加、合格し、ベレッタのM92Fと最後まで競り合った。
結果的に価格と安全装置の有無(P226には手動の安全装置が無い)により敗北する(一説には政治的な配慮もあったそうだ)。
しかし、その性能は誰もが認めるところとなり、FBIやSWAT等、「少々値が張ってもいいから、いいものが欲しい」という最も過酷な現場から次々と採用される事となる。
尚、このP226も日本のSATに採用はほぼ確実といわれており、その他各国の特殊部隊でも採用、あるいは選択可能な拳銃として使用されている。
○エアガンについて
東京マルイ製の銃である。
今までSIGのハンドガンはいくつか所有していたが、いずれも他人への売却が行われており、手元にSIGの銃が552しかない状態だったので、「流石にSIGを語るには無理があるだろう」とおもっていたのだが、これで名実ともにSIGとなったわけだ、拍手。
何故今更になって購入したかについては様々な理由があるが、一番大きかったのが「戦闘中に気兼ねなく撃ちまくれる精度の高い拳銃が欲しかった」である。
USPコンパクトでは精度に問題ありだし、M1911A1は傷をつけたくない。HI-CAPAを使う手もあるが、アレは結構な重量があるのでいつも脚につけておくにはちょっとつらい。
そこで、比較的軽量、かつ作動・精度に定評のあるマルイ製のP226、となったわけだ。
ご多分にもれずなかなかの精度を見せてくれる。
リコイルショックは決して重くは無いが、「ああ、ちゃんと作動してるな」と安心できるぐらいには動く。
また、驚いたのはスライド閉鎖までの早さ。スライドの動きが速い速い。
非常に小気味よく射撃できる。
自分が撃っても20mで人間大のターゲットは外さないし、なれてくればヘッドショットも十分に狙える。
大きさも重量も程ほどで、「使い勝手」という面では素晴らしいの一言に尽きる。
外観に関しては、流石に後発であるKSCのP226には敵わないだろうが、今までのマルイ製品から比べると雲泥の差である。
グリップがやや太いが、SOCOMやグロックのような「角材」ではなく、ちゃんと手のひらにフィットするので思った以上に手にしっくり来る。
サイトピクチャーも良好、ざっと分解してみてもデフォルメを含め強度的に不安を抱えている部分はなさそうな感じである。
流石はマルイ、「ゲームで使う」ことに特化している。
惜しむらくは若干燃費が悪い事。3マガジンちょっとでガスが尽きるので、換えのマガジンは必須だろう。
○総評
ゲームで使いたい、でもハイキャパみたいな空想物はいやだ、という人の限られた選択肢の一つだと思う。
使えるSIGが欲しい、という人には非常にいい銃だろう。
KSCと比べるなら…使用用途にもよるが、ゲームならマルイ、鑑賞ならKSCという方程式に当てはめる事が可能だろう。
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